これはあくまでもキャッシュなしの性能です。読み込みのI/Oの98%はARCかL2ARCのいずれかにヒットするので、キャッシュ込みのIOPSは約30,000となります。最近はこれでも足りなくなっているので、死蔵しているメモリが192GiBのサーバーに移行して、ARCを増やして性能を改善する予定です。
ストレージの読み込みのIOPSが低いのは、RAID-Z2を11本のHDDで組んでいるからです。性能よりも容量を重視してあえてそうしてあります。以前RAID-Zを組むHDDの数を増やしても読み込みのIOPSが増えないことを説明しましたが、今回はデータをもとにこれを説明します。
以下に示したのは、RAID-Z2の1秒間の読み込みのI/Oの回数をサイズごとに集計したものです。ZFSのブロックサイズは、セクターサイズの512バイト(AFTなら4096バイト)から128Kiバイトまで可変なのでI/Oのサイズが変化します。ftp.jaist.ac.jpは大きなファイルが多いので一番多いのは128Kiバイトのブロックです
RAID-Z2 | size | count |
2048 | 1 | |
6144 | 1 | |
101888 | 1 | |
3072 | 2 | |
5632 | 2 | |
8704 | 2 | |
53760 | 2 | |
3584 | 3 | |
5120 | 4 | |
512 | 7 | |
8192 | 7 | |
4608 | 9 | |
131072 | 204 | |
total | 245 |
HDD | size | count |
1536 | 1 | |
5120 | 1 | |
7680 | 1 | |
11776 | 1 | |
43520 | 1 | |
3072 | 2 | |
2048 | 4 | |
5632 | 5 | |
73216 | 5 | |
2560 | 6 | |
58880 | 6 | |
4096 | 7 | |
29184 | 7 | |
11264 | 8 | |
6144 | 9 | |
58368 | 9 | |
1024 | 81 | |
512 | 212 | |
14848 | 795 | |
14336 | 990 | |
total | 2151 |
以前に説明したとおり、一つのブロックのRAID-Zへの書き込みは、分割したブロックがセクターサイズより小さくならない限り、すべてのHDDに分割されます。読み込むときにはパリティを除いたすべてのHDDを読む必要があります。そのためHDDの数を増やせばその分多くのI/Oが発生します。HDDの数を増やしてもRAID-ZのIOPSが増えないのはそのためです。
普通のRAIDの場合はストライプサイズをI/Oのブロックサイズと合わせれば、一つの読み込みに対してHDDへのI/Oは一つしか発生しません。これがRAID-Zととの大きな違いです。
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