2009年9月13日日曜日

Ultra SPARC T1のこと

このエントリーをはてなブックマークに追加
http://ftp.jaist.ac.jp/に書いてあるんですけどftp.jaist.ac.jpはSun Fire T2000で動いてます。この子のCPUのUltraSPARC T1には8つのコアがありますが、クロックヘルツはわずか1GHzです(最近は1.4GHzのもあります)。各コアにはアウトオブオーダ実行もスーパースカラーもありません。だからとても遅いです。

UltraSPARC T1は8つのコアのそれぞれで4つのスレッドを実行できるので、OSから見ると32個CPUがあるように見えます。ところが、各コアは4つのスレッドのうち実行可能なものをクロックごとに順番に実行するだけなので、残念ながら実力はCPU 8個分です。 それもとても遅いCPUの。

ただ、同時に実行はできないけれど、各コアは4スレッド分の状態を保持していて、実行可能なスレッドを判断して実行します。スレッドの切り替えに掛かる時間は前述のとおり1クロックです。本来OSが行うスレッド切り替えの一部をCPUが高速に処理してくれるわけです。

CPU32個分の計算能力は期待できないから科学技術計算とかには向きません。でも、WebサーバのようなI/O待ちをともなう多数のスレッドが走るタイプの仕事なら、高速なスレッド切り替えが効いて、このCPUはすごい性能を見せます。なんてミラーサーバ向きのCPUなんでしょう。

Sun Fire T2000にはGbEが4つ生えているので、これを束ねると理論値で4Gbpsの出力が可能になります。わずか1GHz、消費電力72WのUltraSPARC T1ですが、この帯域を埋めるだけの性能があります。実はいろいろ条件が整わなくて限界を確認できていないのですが、我々は少なくとも2.8Gbpsは出ることを確認しています。聞くところによると、3.3Gbpsは余裕で出るらしいです。

実運用の記録では、先日FireFox 3.5.3と3.0.14がリリースされたときの、同時接続数で22,416、帯域で1849.9Mbpsというのがあります。残念ながら接続数のわりに帯域が出ませんでした。これはmozilla.comがミラーサーバを国に関係なく、割り当てた重みに基づいて振り分けるせいで、世界中からftp.jaist.ac.jpにアクセスが集まったからです。

JAISTもほかのアカデミックサイトと同様、海外、特に商用のネットワークに向かう線についてはそれほど恵まれてはいません。こういうアクセスのされ方はつらいです。T2000の能力はピークの時点でも十分余力がありましたよ。でも、FirefoxとFedoraの新しいバージョンが同時に出たりしたらだめかもしれませんね。

0 件のコメント:

コメントを投稿